地獄より愛を込めて。地獄は喜劇の主戦場

REICO


 
・失敗って、やっぱりしたくないし
怖いですよね。

でも、そういう経験の方が、良い思い出になったり、糧になったりすることはあります。

以前に、家族で沖縄へ行った時の話。

沖縄滞在中は、本島から船で20分ほどにある無人島、ナガンヌ島行きも予定に組んでいました。

透明な海と風。
コテージでまどろみながら
楽園を満喫しようと楽しみにしていました。

いざ、東京を出発する時
台風が沖縄付近をウロウロしていました。

けれど、なんとかなるだろうと飛行機へ。
無事に沖縄に到着。

ナガンヌ島行き当日の天候は曇り。
台風のピークは過ぎたけれど、まだ不安定。

でも「出航します!」ということになり
私たちの他に、男女若者グループなど20名くらいでナガンヌ島行きの船に乗り込みました。

だけど、やっぱり船はゆれる、ゆれる。
台風の影響で、まだまだ波は大きい。

当然、船酔いは加速。

ふと気がついたら、船員さん含む全員がヘビーな船酔い状態に。

みんな、エチケット袋を片手に青ざめた表情。

我が子も袋を片手に「帰りたい…。」
主人も若者たちと共に、打ち上げられた魚かと見まごう姿で、デッキに横たわっていました。

せめて早く島についておくれと願うが、叶わず。
なんと
「あまりに波があるので、島に船をつけることが出来ません」のアナウンス。

オーマイガー!

「とはいえ、このままUターンするのもなんなので
島近くに漂流する形で船を止めて
シュノーケリングしたり
ドラゴンボートに乗ったりして過ごしましょう。」
との案内。

船は動いているよりはまだマシだけれど、やっぱりユラユラ揺れたまま。

ただの生き地獄でした。

船に乗っていても気持ち悪い。
海に飛び込んでも気持ち悪い。

静止している地盤がどこにもなくて、逃げ場がない。

そう、生き地獄。

結局、主人は終始蝋人形。
子供も蝋人形。
若者たちも蝋人形。

(※蝋人形=表情が死んだまま、動かない)

そこから30分ほどして、とうとう本島に戻ることに。

誰も船酔いから快復しないまま
ヘビーな船酔い再開。
地獄よ再び。

誰もが「完全に終わった」状態でした。

 

・この日のことは、今でも家族の間で話題になります。

大失敗だったね、と。
そして、必ずひと笑い起きる。

家族鉄板のネタです。

南の島で優雅に過ごし
波の音に癒されたり
子供とキャッキャするつもりが
…地獄。
…蝋人形。

酔い止めドリンクとエチケット袋だけが友達。

もう、笑うしかないのです。

フリも完璧な
最高の喜劇だったのです。

あの日が死と背中合わせほどの苦しい体験だっただけに
笑いがこみ上げてくる。

だから、何度も何度も
あの時はあんな感じだった
こんなこと言ってたよ
ひどい表情だったね
と、この経験の元を取るどころか、お釣りが出るほどに笑ってしまう。

もちろん、二度と同じ経験はしたくないですが
それでも
あの日はあれで良かったなぁと、つくづく思うのです。

最高の喜劇に飛び込んだ
当日の私たちに「グッジョブ!」なのです。

きっと人生には、こんなことがいっぱいあって

でも、エチケット袋みたいな共済処置もどこかにはあって
その後は笑いのネタになっていく。

結局のところ

「最高に退屈しない人生だった!」

になるのだろうと思います。
 

(※ナガンヌ島には今後も行くつもり&船員さんたちはちゃんとみんなの世話をしてくれていました!)

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